研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

高血圧性臓器障害の発症・進展に作用する免疫調節障害の新奇分子基盤:ART2b-STIM1シグナルの可能性の検討

研究題目 高血圧性臓器障害の発症・進展に作用する免疫調節障害の新奇分子基盤:ART2b-STIM1シグナルの可能性の検討
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 島根大学 医学部病理学講座病態病理学
氏名 大原 浩貴
キーワード 脳卒中易発症高血圧自然発症ラット / 高血圧性臓器障害 / 遺伝的素因 / ゲノム編集
研究結果概要 研究代表者は、脳卒中易発症高血圧自然発症ラット (SHRSP) の脳卒中感受性に強く関わる遺伝子候補として、小胞体カルシウム貯蔵センサーSTIM1、および成熟T細胞に特異的に発現するモノADPリボシル化酵素ART2bを同定した。これらがT細胞の機能調節に関わることから、T細胞サブセットの系統差について検討した。その結果、少なくとも高血圧発症後の成熟ラットにおいて、末梢血と脾臓におけるヘルパー・細胞傷害性・抑制性T細胞の存在比率がStim1やArt2bの遺伝子型によって異なる可能性を見い出した。また、ゲノム編集技術を用いて、Art2bおよびStim1を標的とする新たなノックアウト・ノックインラットを作製し、脳卒中発症率と生存率に関する検討を行った。Art2b-KO系統の観察経過から、予想に反してArt2bはSPwch1.71コンジェニックラットが示す脳卒中高感受性の原因遺伝子ではないことが示唆されている。また、STIM1の機能回復だけではSPwch1.71の脳卒中高感受性を抑制することはできないことも明らかになりつつある。
公表論文