研究助成
2022年度 医学系研究助成（がん領域（基礎））
ヒトiPSC由来ヒト膵臓星細胞を応用したヒト膵がん細胞－ヒト星細胞間相互作用が膵がん進行に及ぼす影響の解析
| 研究題目 | ヒトiPSC由来ヒト膵臓星細胞を応用したヒト膵がん細胞－ヒト星細胞間相互作用が膵がん進行に及ぼす影響の解析 |
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| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究助成（がん領域（基礎）） |
| 所属 | 国立がん研究センター研究所 がん細胞システム研究ユニット |
| 氏名 | 米谷 達哉 |
| キーワード | 膵がん / 星細胞 / がん微小環境 / 細胞間相互作用 / 細胞共培養系 |
| 研究結果概要 | 膵がんは極めて予後不良ながんであり、治療法の開発には膵がん細胞とそれを取り巻く間質細胞との複雑な相互作用の理解が不可欠である。本研究では、ヒトiPS細胞由来膵星細胞と検体由来ヒト膵がん細胞を用いた共培養系を新たに構築し、膵がん組織における組織学的特徴および細胞間相互作用の一部をin vitroで再現することに成功した。この共培養系を用いた解析により、静止期星細胞はがん細胞の増殖を促進する一方で、活性化型では抗がん剤に対する抵抗性の獲得を促進することが示された。さらに、single nucleus RNA-seq解析により、星細胞の状態に応じて膵がん細胞が示す可塑的な反応を支える遺伝子発現変化を捉え、相互作用に関与する可能性のある候補遺伝子群を抽出した。また、複数の患者検体由来の膵がん細胞を用いた検討から、がん細胞側の応答様式には明確な多様性が存在することも明らかとなり、腫瘍間で異なる細胞間相互作用の型が存在する可能性が示唆された。今後は、より初期の病変に由来する細胞を用いた系の確立と解析を進めることで、膵がん患者に共通する間質との関係性をより普遍的に捉えることを目指す。 |
| 公表論文 |
1. Development of a novel co-culture system using human pancreatic cancer cells and human iPSC-derived stellate cells to mimic the characteristics of pancreatic ductal adenocarcinoma in vitro. Biochem. Biophys.Res. Commun. 658: 1-9 (2023) 2. ヒト膵がんオルガノイドとヒトiPS細胞由来星細胞を応用した膵がん組織を模倣する細胞共培養系の開発, 北隆館, Bio Clinica 38: 58-60 (2023) iPS細胞を用いた疾患治療法の研究開発 |