研究助成

2022年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

視床下部において養育行動をつかさどる遺伝子発現制御メカニズムの解明

研究題目 視床下部において養育行動をつかさどる遺伝子発現制御メカニズムの解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 大阪大学 蛋白質研究所 分子発生学研究室
氏名 Tu Hung-Ya
キーワード 養育行動 / 視床下部 / マウス / 遺伝子制御
研究結果概要 本研究では、視床下部発生における遺伝子制御因子の役割と、雄マウスの養育行動(allo-parenting behavior)を制御する神経回路形成メカニズムの解明を目的としている。行動解析の結果、特定の遺伝子制御因子を欠損させた雄マウスでは、交配経験や雌との同居といった社会的経験や学習を伴わずとも、新生児マウスに対して自発的かつ安定した養育行動が観察された。通常、雄マウスの養育行動は交配経験後に獲得されるものであり、本研究で見出した行動変化は、視床下部神経回路形成の異常が行動制御に影響を及ぼしている可能性を示唆している。対象としている遺伝子制御因子の発現は胎生期から周産期にかけて一過性であるため、その時期に発現した細胞が将来的にどのような細胞へと分化するのかを明らかにするべく、特異的標識法の開発を進めている。さらに、他の関連遺伝子制御因子との比較解析により、本現象が特異的な欠損に由来することが確認された。現在は、雄マウス視床下部の一細胞トランスクリプトーム解析を進めている。
公表論文