研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

RNA由来の新規メタボライトが織り成す生体内代謝の解明と応用

研究題目 RNA由来の新規メタボライトが織り成す生体内代謝の解明と応用
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 東北大学 加齢医学研究所 モドミクス医学分野
氏名 小川 亜希子
キーワード RNA / 代謝 / 修飾ヌクレオシド / m6A / アデノシン
研究結果概要 本研究の目的は化学修飾されたRNA由来の代謝物(修飾ヌクレオシドなどのメタボライト)の機能解明である。まず、特殊な代謝経路を持つ修飾ヌクレオシドとして、m6A(N6-methyladenosine)に加えてm6,6A(N6, N6-dimethyladenosine)とi6A(N6-isopentenyladenosine)を同定した。これらの3種類の修飾アデノシンは細胞毒性を持ち、ADK(adenosine kinase)とADAL(adenosine deaminase-like)の酵素により逐次的に代謝されて無毒なIMP(イノシン酸)となりプリン代謝経路へ組み込まれる。そこで次に各酵素のKOマウスを作成して表現型経解析を行った。まずADAL KOマウスは耐糖能異常を示し、修飾アデノシンのリン酸化体によるAMPKのアロステリックな阻害が原因として考えられた。更にADK KOマウスはほぼ胎生致死であり、ケミカルプロテオミクスを行うことで、リソソーム阻害による毒性が根底にあることが示唆された。一連の研究結果により、RNA由来のメタボライトの生体内の新たな機能を明らかにすることができた。
公表論文 1. Activation of the urotensin-II receptor by remdesivir induces cardiomyocyte dysfunction. Communications biology, 6(1), 511. https://doi.org/10.1038/s42003-023-04888-x
2. A sequential, RNA-derived, modified adenosine pathway safeguards cellular metabolism. bioRxiv (preprint) doi: https://doi.org/10.1101/2024.05.23.595515