研究助成

2022年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

大腸がん悪性化を左右する超保存領域のエピトランスクリプトーム調節機構

研究題目 大腸がん悪性化を左右する超保存領域のエピトランスクリプトーム調節機構
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 徳島大学大学院 医歯薬学研究部 遺伝情報医学
氏名 桑野 由紀
キーワード 大腸がん / エピトランスクリプトーム / 超保存領域 / RNAメチル化 / 選択的スプライシング
研究結果概要  本研究では、リバーシブルなRNA修飾であるアデノシンN6位のメチル化(Methyl-6-adenosine(m6A))に着目し、ゲノムの超保存領域(ultraconserved region:UCR)より転写されるRNA(T-UCR)のメチル化修飾の網羅的解析を行い、大腸がん進展に寄与するエピトランスクリプトームの同定を目的とした。
 研究結果として、➀ T-UCR RNAメチル化の網羅的解析と発現誘導シグナルの検索を行い、RNAシークエンシングより大腸がんでメチル化されるT-UCRメチル化配列を特定した。➁ T-UCRのm6Aメチル化修飾 RNAを化学合成し、メチル化RNAのみ特異的に結合するRNA結合タンパク質を同定した。➂ T-UCR Xは特定の細胞増殖関連トランスクリプトームを調節すること発見し、RNAメチル化酵素METTL3を阻害によりT-UCR Xが減少し、大腸がんの細胞増殖の抑制と浸潤能が低下することを見出した。以上の結果より、T-UCRのRNAメチル化を含むRNA修飾を介した病態メカニズムは、がんの新しい機序解明に繋がる可能性が示された。
公表論文