研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

2型自然リンパ球依存的なアレルギー疾患に対して外部環境因子が及ぼす影響の解析

研究題目 2型自然リンパ球依存的なアレルギー疾患に対して外部環境因子が及ぼす影響の解析
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 大阪大学 大学院医学系研究科 感染症・免疫学講座 生体防御学教室
氏名 八代 拓也
キーワード ILC2 / アレルギー / 気管支喘息 / 社会的孤立
研究結果概要 近年、アレルギー疾患は国民の約半数が罹患しており、生産性の低下などによる社会的損失も大きい。ILC2はIL-33によって活性化され、アレルギーの発症に深く関与するが、精神的ストレスとの関係やその機構は十分に解明されていなかった。COVID-19パンデミック時の社会的孤立が免疫系に重大な影響を及ぼすことが予想されたことから、本研究では社会的孤立がILC2依存的アレルギー疾患に与える影響を明らかにすることを目的とした。
6週齢のマウスを4日間個別飼育し、パパイヤ由来プロテアーゼであるパパイン経鼻投与して喘息を誘導したところ、個別飼育群では好酸球浸潤や粘液産生が抑制され、喘息症状が軽減された。一方、細菌感染を模したリポポリサッカライド誘導性肺炎では同様の抑制は見られず、個別飼育は2型免疫応答を特異的に抑制することが明らかとなった。興味深いことに、IL-33を直接投与した場合にはアレルギー抑制効果が消失し、個別飼育はIL-33の発現低下を招くことでアレルギーを抑制することが示唆された。この効果は若齢期ni
特有であり、今後はIL-33の発現低下メカニズムの解明が求められる。
公表論文