研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

細菌由来ペプチドによる腎線維化促進機序の解明とそれを標的とする治療法の開発

研究題目 細菌由来ペプチドによる腎線維化促進機序の解明とそれを標的とする治療法の開発
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 三重大学 大学院医学系研究科 代謝内分泌内科学
氏名 安間 太郎
キーワード 慢性腎臓病 / 線維化 / 細菌叢 / corisin
研究結果概要 本研究ではcorisinが腎線維化に及ぼす影響をマウスモデルおよび細胞株を用いて検討した。腎特異的ヒトTGFβ1過剰発現マウスにおいてcorisin投与により血中のIL-1β、MIP-2(macrophage inflammatory protein-2)、尿中アルブミン/クレアチニン比が上昇し、糸球体および尿細管間質の線維化が悪化した。またcorisinは尿細管上皮細胞のミトコンドリアに集積し、アポトーシス抑制因子であるbcl2の発現を抑制しアポトーシス促進因子であるbaxの発現を増加させた。内因性アポトーシス経路を活性化することが明らかとなった。以上の結果から、corisinがミトコンドリア障害を介して細胞死を誘導することにより腎線維化を促進する可能性が示唆された。今後、患者検体でのcorisinの検討、動物モデルでcorisin阻害による病態抑制効果の検討を行い、将来的に新規の治療法やバイオマーカーの確立につなげることを目指す。
公表論文