研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

肺胞をターゲットとしたsiRNA・ヒアルロン酸含有吸入用マイクロ粒子製剤の開発-COPD治療の実現に向けて-

研究題目 肺胞をターゲットとしたsiRNA・ヒアルロン酸含有吸入用マイクロ粒子製剤の開発-COPD治療の実現に向けて-
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 愛知医科大学 医学部解剖学講座
氏名 福重 香
キーワード ドラッグデリバリーシステム(DDS) / 吸入製剤 / siRNA / ヒアルロン酸 / 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
研究結果概要 肺胞への効率的な薬物送達は、核酸医薬や抗体医薬などの高分子医薬品における吸入製剤開発において重要な課題である。本研究では、炎症性サイトカインTNF-αを標的とするsiRNAをカチオン性脂質ナノ粒子(LPD)に封入し、高分子量ヒアルロン酸(HA)で被覆したLPDHを作製した。さらに、スプレーフリーズドライ法により、吸入投与に適した多孔性マイクロ粒子(LPDH-SFDP)として製剤化を行った。得られた粒子は、幾何学径やゼータ電位などの物性評価において、肺胞送達に適した特性を示した。加えて、イオン液体を用いた透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、粒子構造の均一性およびHA濃度依存的な形態変化が確認された。肺胞上皮細胞様機能を有するヒト肺腺がん細胞(A549)を用いたin vitro評価では、効率的な細胞内取り込みとTNF-α mRNA発現の有意な抑制が実証された。さらに、エラスターゼ誘導COPDモデルラットを用いたin vivo評価においても、炎症細胞の浸潤抑制や肺胞構造の破綻軽減効果が認められ、本製剤の有効性が示唆された。
公表論文