研究助成
2022年度 医学系研究助成（がん領域（基礎））
シングルセルマルチオミクス解析による膠芽腫の時空間的進化機構の解明
| 研究題目 | シングルセルマルチオミクス解析による膠芽腫の時空間的進化機構の解明 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究助成（がん領域（基礎）） |
| 所属 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究分野 |
| 氏名 | 畝田 篤仁 |
| キーワード | 膠芽腫 / 幹細胞様腫瘍細胞（GSC) / 分化腫瘍細胞（DGC） / 分子標的治療 / シングルセル解析 |
| 研究結果概要 | 膠芽腫は、幹細胞様腫瘍細胞（GSC）と分化腫瘍細胞（DGC）を含む高度な腫瘍内不均一性を有し、治療抵抗性の一因となっている。本研究では、CITE-seqを用いた空間情報付き単一細胞マルチオミクス解析により、腫瘍採取部位ごとの細胞構成と遺伝子発現パターンの異質性を詳細に明らかにした。さらに、公開データを用いてGSCおよびDGCのシグネチャーを抽出し、薬剤感受性データと統合することで、belinostat（HDAC阻害薬）およびdasatinib（チロシンキナーゼ阻害薬）の併用がGSCとDGC双方に有効であることをin silicoおよびin vitroで確認した。併用療法はG2/MチェックポイントおよびPI3K-Akt-mTOR経路を同時に抑制し、細胞周期停止およびアポトーシスを促進した。in vivoにおいても腫瘍縮小効果、増殖抑制、アポトーシス誘導を確認し、GSCとDGCの同時標的化による治療戦略の有効性を実証した。 |
| 公表論文 | Dual molecular therapy targeting tumor cell heterogeneity improves therapeutic efficacy in glioblastoma. iScience, Volume 28, Issue 9, 113456 |