研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

血液精巣関門によって上皮バリアと上皮極性が形成される意義の解明

研究題目 血液精巣関門によって上皮バリアと上皮極性が形成される意義の解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 熊本大学 大学院 生命科学研究部生体微細構築学講座
氏名 菅原 太一
キーワード 精巣 / セルトリ細胞 / 血液精巣関門 / タイトジャンクション / クローディン
研究結果概要  哺乳動物の精巣において、セルトリ細胞は生殖細胞系列である造精細胞の分化をサポートし、精子形成に寄与する。セルトリ細胞は互いに接着し、タイトジャンクション(Sertoli cell tight junction: SCTJ)を主要構造とする血液精巣関門を構築する。しかし、精子形成におけるSCTJの役割について十分に理解されていない。本研究では、クローディン-11(SCTJ構成分子)欠損マウスを用いてSCTJの働きを調べた。クローディン-11欠損による精子形成への影響を解析した結果、クローディン-11が未分化型精祖細胞ではなく、分化型精祖細胞の維持に必須であることを見いだした。また、クローディン-11は頂端–基底軸に沿った上皮極性形成に寄与しており、分化型精祖細胞の増殖に必要な幹細胞因子(Stem cell factor: SCF)を基底膜近傍のセルトリ細胞膜に集積させることに必要であった。以上より、クローディン-11がセルトリ細胞の上皮極性形成を介してSCFを基底区画に集積させ、分化型精祖細胞の維持に寄与することが示唆された。
公表論文 Claudin-11 regulates immunological barrier formation and spermatogonial proliferation through stem cell factor. Commun. Biol., 8(1):148, 2025.