研究助成

2022年度 医学系研究助成(感染領域)

カンジダ属病原性に環境因子が与える影響の解析研究 - ヒト体内条件を模した低酸素環境は病原性亢進に寄与するのか -

研究題目 カンジダ属病原性に環境因子が与える影響の解析研究 - ヒト体内条件を模した低酸素環境は病原性亢進に寄与するのか -
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(感染領域)
所属 国立感染症研究所 真菌部
氏名 阿部 雅広
キーワード カンジダ属 / 播種性カンジダ症 / Candida albicans / 微好気環境 / 病原性
研究結果概要 本研究では播種性カンジダ症マウスモデルを用い、好気・低酸素環境で培養した際のカンジダ属の病原性変化について評価を行った。Candida albicansは低酸素、特に微好気条件で培養した菌を感染させた際に好気条件と比較して臓器内真菌量が有意に多く、病理組織学的解析でも臓器内炎症巣が著明に多い結果が確認された。また、感染後の臓器内炎症細胞数・種類を評価した結果、低酸素環境培養群で著明な好中球数の増加が確認された。さらに、低酸素環境で培養したC. albicansの病原性亢進に関わる真菌側因子の解析を行うため、好気・低酸素環境で培養したC. albicansからRNAを抽出し、RNA-seqによる網羅的解析を実施した。遺伝子発現量の群間比較および臓器播種量との比較を行い、微好気培養条件において発現が強く亢進する遺伝子を複数抽出した。また、好気・低酸素環境培養株の表現型変化をフローサイトメトリーにて解析した。結果として、低酸素環境で培養したC. albicansにおいて細胞密度の高い細胞集団が確認され、低酸素環境によるC. albicansの病原性亢進と関連する可能性が高いと推察された。
公表論文 該当なし