研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

エピジェネティクスによる皮膚トレランス制御についての解析

研究題目 エピジェネティクスによる皮膚トレランス制御についての解析
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 産業医科大学 医学部皮膚科
氏名 澤田 雄宇
キーワード エピジェネティクス / 皮膚トレランス
研究結果概要 ヒトを含む生命体は環境に適応し独自の生態系を形成してきた。皮膚は外界との接点にあり、刺激に応じて免疫応答を起こす一方、過剰な炎症を抑える精密な制御機構も備えている。近年、皮膚常在菌が産生する短鎖脂肪酸(SCFA)がエピジェネティクス修飾、特にHDACの活性を通じて炎症制御に関与する可能性が注目されている。本研究では、SCFAが皮膚トレランス機構に及ぼす影響を明らかにした。乾癬モデルではHDAC8/9欠損により炎症が悪化し、SCFAがそれらを介して炎症性サイトカイン(IL-17/IL-23)を抑制することが示された。アトピー性皮膚炎モデルではTSLPの増加とMAPK経路活性化が確認され、SCFAによる免疫調整作用も認められた。これらの結果は、SCFAがエピジェネティクスを介して皮膚炎症を調節する重要な因子であることを示唆しており、将来的には新たな治療標的として期待される。
公表論文