研究助成

2022年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

L型アミノ酸トランスポーター1を用いたホウ素中性子捕捉療法の治療効果予測のためのバイオマーカー開発研究

研究題目 L型アミノ酸トランスポーター1を用いたホウ素中性子捕捉療法の治療効果予測のためのバイオマーカー開発研究
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 国立がん研究センター中央病院 放射線治療科
氏名 柏原 大朗
キーワード ホウ素中性子捕捉療法 / BNCT / 放射線治療 / バイオマーカー / L型アミノ酸トランスポーター1
研究結果概要  本助成では、L型アミノ酸トランスポーター1(以下、LAT-1)のホウ素中性子捕捉療法(以下、BNCT)のバイオマーカーとしての有用性を調べた。
 まず、当院で18FBPA-PET撮影を行った頭頸部患者において、18FBPA集積と腫瘍検体のLAT-1発現との相関を調べた。結果、LAT-1発現強度と18FBPA-PET集積には中等度の相関(SUVpeak と LAT-1最小スコアで ρ=0.661)が認められた。続いて、実際にBNCTを施行した皮膚血管肉腫、悪性黒色腫患者を対象に、LAT-1発現と治療効果の相関に関して調べた。当院で実施した皮膚血管肉腫および悪性黒色腫に対するBNCTの第I相臨床試験に登録された10例のうち、研究同意が取れた7例(血管肉腫症例6例、悪性黒色腫1例)に関して、治療前組織検体を用いてシングルセル解析を行った。奏効群4例と非奏効群3例に分けて比較したところ、LAT-1発現は奏効群で有意に高く(p=2.41×10-27)、BNCTを実際に行った症例において、LAT1高発現であることがBNCTの治療効果のバイオマーカーとなり得ることが示唆された。
公表論文 Correlation between L-amino acid transporter 1 expression and 4-borono-2-18 F-fluoro-phenylalanine accumulation in humans. Cancer Med. 2023 Nov;12(21):20564-20572. doi: 10.1002/cam4.6635. Epub 2023 Oct 25.