研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

乳歯幹細胞を疾患モデルとした稀少難病の病態機序解明

研究題目 乳歯幹細胞を疾患モデルとした稀少難病の病態機序解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 九州大学 大学院歯学研究院口腔常態制御学講座分子口腔解剖学分野
氏名 加藤 大樹
キーワード ドラベ症候群 / SCN1A / Nav1.1
研究結果概要 ドラベ症候群は有効な治療薬がない稀少難治てんかんである。本疾患の責任遺伝子として、電位依存的ナトリウムチャネルのサブユニットをコードするSCN1Aが同定されている。しかし、詳細な分子機序は解明されておらず根治療法が開発されていない。本研究で我々は、乳歯幹細胞におけるSCN1Aの減少は、①細胞周期のS期での遅延、②AKTのタンパク質レベルでの減少、③CDK2のタンパク質分解の促進を引き起こすことを明らかにした。これまでドラベ症候群の病態研究は電気生理学的な解析が主であった。今回我々は細胞生物学的な解析を行い、SCN1Aが電位依存的ナトリウムチャネルとしての機能以外に、AKTとCDK2を介して細胞周期の制御に関わる事を初めて明らかにした。本研究成果はドラベ症候群の病態研究に新たな知見をもたらし、今後、SCN1Aによる上記分子の制御機序や、その生理的意義を解明することでドラベ症候群の分子病態解明に一層貢献できると考える。
公表論文 Nav1.1 contributes to the cell cycle of human mesenchymal stem cells by regulating AKT and CDK2. (2024) J Cell Sci. 137: jcs261732