研究助成

2022年度 医学系研究助成(基礎)

知覚神経系による腸管脂肪吸収と脂肪肝制御

研究題目 知覚神経系による腸管脂肪吸収と脂肪肝制御
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(基礎)
所属 北里大学 医学部 薬理学
氏名 細野 加奈子
キーワード 乳糜管脂肪吸収 / 脂肪肝炎 / CGRP / RAMP1 / 肥満
研究結果概要 本研究は知覚神経ペプチドCGRPとその受容体構成タンパク質RAMP1の脂質代謝調節機構を解明した。高脂肪食(HFD)を与えたRAMP1欠損マウスは野生型と比較して、顕著な体重増加、内臓脂肪蓄積、血清脂質・血糖値上昇を示した。腸管絨毛ではCGRPが乳糜管周囲に分布し、RAMP1は周囲平滑筋やマクロファージに発現していた。
RAMP1欠損マウスでは乳糜管のButton構造(脂肪吸収促進型)が優位となり、脂肪吸収が増加した一方、野生型マウスではZipper構造(脂肪吸収抑制型)が優位であった。
肝臓においてもRAMP1欠損マウスではHFD給餌により肝腫大、肝重量増加、脂肪蓄積、ALT・コレステロール上昇が顕著であった。さらに炎症・線維化関連因子の発現増加と炎症性マクロファージの集積が認められた。
以上の結果から、CGRP/RAMP1シグナルは乳糜管の構造を調節して腸管からの脂肪吸収を制御し、非アルコール性脂肪性肝疾患の進展を抑制する重要な役割を担うことが明らかとなった。
公表論文 Deletion of RAMP1 Signaling Enhances Diet-induced Obesity and Fat Absorption via Intestinal Lacteals in Mice. In Vivo. 2024 Jan-Feb;38(1):160-173. doi: 10.21873/invivo.13422.
Responses of hepatic sinusoidal cells to liver ischemia-reperfusion injury. Front Cell Dev Biol. 2023 Apr 4;11:1171317. doi: 10.3389/fcell.2023.1171317.