研究助成

2022年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

癌細胞の過剰中心体収束の阻害による癌治療戦略の確立

研究題目 癌細胞の過剰中心体収束の阻害による癌治療戦略の確立
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 東京大学医学部附属病院 呼吸器内科
氏名 川上 正敬
キーワード 過剰中心体 / 中心体収束 / anaphase catastrophe
研究結果概要 癌細胞はしばしば過剰中心体を持つが、中心体を二極に収束し二極性細胞分裂を遂行する。中心体収束が阻害されると、多極性細胞分裂から細胞死に至る(anaphase catastrophe)。本研究では、特異的に中心体収束に働く標的候補としてKIFC1の可能性を模索した。肺癌細胞において、KIFC1の特異的阻害剤(AZ82)により細胞増殖抑制、細胞死誘導を認め、これらの効果はsiRNAによるKIFC1ノックダウンやCRISPR-Cas9システムによるKIFC1ノックアウトでも確認された。染色体とαチュブリンの蛍光染色で細胞分裂像を観察するとKIFC1阻害により多極性細胞分裂が誘導され、さらにpericentrinの染色で中心体を観察すると、肺癌細胞でもともと存在する過剰中心体の収束が阻害されることで多極性細胞分裂が誘導されていることがわかった。これらは肺癌細胞xenograftマウスモデルを用いたin vivoでも確認され、KIFC1を標的とした過剰中心体収束阻害による多極性細胞分裂誘導が新たな肺癌治療戦略となることが示唆された。
公表論文