研究助成
2022年度 医学系研究助成(基礎)
発生学的解析に基づくリンパ管奇形の病因解明・新規治療法開発
| 研究題目 | 発生学的解析に基づくリンパ管奇形の病因解明・新規治療法開発 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究助成(基礎) |
| 所属 | 三重大学 大学院医学系研究科 修復再生病理学 |
| 氏名 | 丸山 和晃 |
| キーワード | 脈管奇形 |
| 研究結果概要 | 本研究では、頭頸部に好発する難治性リンパ管奇形・血管奇形の病態形成機構を、発生学的視点から解明することを目的とした。マウスモデルを用い、心臓咽頭中胚葉(cardiopharyngeal mesoderm, CPM)由来細胞に特異的にPik3caH1047R変異を導入することで、ヒト頭頸部血管奇形を再現することに成功した。シングルセルRNA解析の結果、変異内皮細胞では低酸素応答シグナル(HIF-1α活性化)およびVEGF-A発現亢進が認められた。さらにヒト脈管奇形検体においてもHIF-1αおよびVEGF-Aの発現上昇が確認された。加えて、HIF-1α阻害剤およびVEGF-A中和抗体をマウスモデルに投与したところ、病的血管新生が有意に抑制され、病変形成の軽減効果が得られた。この成果は、脈管奇形に対する新規治療戦略の可能性を示唆するものであり、治療が困難な患者群に対する応用が期待される。 本助成による支援を受け、これらの成果をもとに国際誌EMBO Molecular Medicineに論文(Torii et al., 2025)を発表した。 |
| 公表論文 |
The development of early human lymphatic vessels as characterized by lymphatic endothelial markers The EMBO Journal 43(5) 868-885 2024年1月 Embryological cellular origins and hypoxia-mediated mechanisms in PIK3CA-driven refractory vascular malformations. EMBO molecular medicine 2025年4月16日 |
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