研究助成

2022年度 医学系研究継続助成(がん領域(臨床))

BRAF変異大腸がんに対する個別化医療の開発

研究題目 BRAF変異大腸がんに対する個別化医療の開発
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究継続助成(がん領域(臨床))
所属 愛知県がんセンター がん標的治療トランスレーショナルリサーチ分野
氏名 衣斐 寛倫
キーワード BRAF変異 / 大腸がん
研究結果概要 BRAF変異は、その機能によりClass I-IIIの3種類に分類される。一方で公的データベースでは、機能が明らかでない変異が多数報告されている。本研究助成では、機能不明バリアントに対する機能予測モデルの開発を目的に検討を開始した。In vitroでの下流ERKの活性化の検討などから、機能が明らかでなかったバリアント106種類のうち、Class I変異1種類(V600G)、Class 2変異6種類、Class 3変異 10種類を新規に同定するとともに、Class 3変異よりもERKの活性化能が低いが、野生型BRAFより活性化誘導を行う変異16種類を同定した。これらの変異の多くは、遺伝性腫瘍で報告されており、弱いERKの活性化により表現型を示している可能性が考えられた。結晶構造解析から、これらの変異は、BRAFを抑制する分子との複合体形成を減弱させる作用が考えられた。現在、精製タンパクによる検証を行うとともに、マウスモデルにて表現型の確認を行う予定である。
公表論文 Mechanisms of Resistance to KRAS Inhibitors: Cancer Cells' Strategic Use of Normal Cellular Mechanisms to Adapt. Cancer Science, 116:600-612, 2025.

ARAF Amplification in Small-Cell Lung Cancer-Transformed Tumors Following Resistance to Epidermal Growth Factor Receptor–Tyrosine Kinase Inhibitors. Cancers. 16, 3501, 2024.

SHP2 inhibitors maintain TGFβ signalling through SMURF2 inhibition. NPJ Precision Oncology, 136, 2023.

Scribble mis-localization induces adaptive resistance to KRAS G12C inhibitors through feedback activation of MAPK signaling mediated by YAP-induced MRAS. Nature Cancer. 4:829-843, 2023