研究助成

2022年度 医学系研究継続助成(基礎)

多機能タンパク質ナルディライジンの巨核球成熟・血小板産生における意義と分泌メカニズムの解明

研究題目 多機能タンパク質ナルディライジンの巨核球成熟・血小板産生における意義と分泌メカニズムの解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究継続助成(基礎)
所属 滋賀医科大学 医学部医学科薬理学講座
氏名 大野 美紀子
キーワード メタロエンドペプチダーゼ / 血小板産生 / 酵素活性
研究結果概要 本研究では、メタロエンドペプチダーゼ、ナルディライジン(NRDC)の酵素活性が生体内における血小板産生に果たす役割を明らかにすることを目的とした。これまでの研究で、iPS細胞由来巨核球においてNRDCの酵素活性が血小板産生を促進することが示されていたが、生体内における機能は未解明であった。そこで、造血幹細胞特異的Nrdc欠損マウスおよび酵素活性欠失型Nrdcノックインマウスを用いて解析を行った。定常状態ではこれらのマウスの血小板数に有意な変化は認められなかった。全身性表現型による代償の影響が考えられるため、現在、血球系に特異的な変異マウスを作製し、薬剤による血小板除去後の反応性産生を解析予定である。さらに、急性冠症候群(ACS)患者における血清NRDC値と血小板数との関連を検討した結果、ACS発症24時間以内の症例において、両者の間に弱いが有意な正の相関が認められた。今後NRDCの酵素活性が血小板および循環器疾患に関与する可能性について、疾患モデルマウス等を用いて検討する予定である。
公表論文 Auxiliary roles of nardilysin in the early diagnosis of acute coronary syndrome: a prospective cohort study, the Nardi‑ACS study. Internal and Emergency Medicine (2024) 19:649–659
Nardilysin in vascular smooth muscle cells controls blood pressure via the regulation of calcium dynamics. Biochemical and Biophysical Research Communications 712-713 149961-149961, 2024