研究助成

2022年度 医学系研究継続助成(がん領域(基礎))

リソソーム系を介したがん細胞の酸性環境適応機構の解明

研究題目 リソソーム系を介したがん細胞の酸性環境適応機構の解明
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究継続助成(がん領域(基礎))
所属 大阪大学 微生物病研究所 細胞制御分野
氏名 船戸 洋佑
キーワード がん / リソソーム / lysosomal exocytosis / ケミカルスクリーニング / PRL
研究結果概要 腫瘍組織内のがん細胞を取り巻く「がん微小環境」は酸性化しているが、通常細胞にとって有害な酸性環境下でがん細胞が増殖し続けられる仕組みはほとんどわかっていない。私はがん悪性化のドライバー分子PRLの解析から、PRLの高発現によりリソソーム膜と細胞膜が融合し、プロトンなどリソソーム内腔の物質を細胞外へ放出する「lysosomal exocytosis」の活性化が、酸性環境適応に寄与していることを明らかにしてきた。本研究ではこのlysosomal exocytosisを介したがん悪性化機構、特にケミカルスクリーニングから見出したあるシグナル伝達経路の重要性を明らかにするべく、各種解析を実施した。その結果、シグナル伝達に必須の受容体分子の欠損やリガンド添加実験により、本シグナル伝達経路のlysosomal exocytosisや酸性環境適応における重要性を明らかにし、また担がん実験から本シグナル伝達同経路の活性化により腫瘍がより大きく形成され、かつlysosomal exocytosisの阻害剤Vacuolinのマウス投与により抑制できることから、がん悪性化における重要性も明確にできた。
公表論文