研究助成

2022年度 薬学系研究助成

ビタミン代謝を標的とした白血病幹細胞制御戦略の創出

研究題目 ビタミン代謝を標的とした白血病幹細胞制御戦略の創出
年度/助成プログラム 2022年度 薬学系研究助成
所属 岐阜薬科大学 機能分子学大講座・薬理学研究室
氏名 深澤 和也
キーワード 急性骨髄性白血病 / ビタミン代謝 / 白血病幹細胞
研究結果概要 急性骨髄性白血病(AML)は、難治性の造血器腫瘍であり、標準治療法ででも予後改善が限定的である。その一因として、白血病幹細胞が抗がん剤に対して高い抵抗性を示すことが挙げられており、その幹細胞性維持機構の解明が急務である。ビタミンKは脂溶性ビタミンに分類される栄養素である。近年、ビタミンKサイクルが抗腫瘍効果を発揮する可能性が示唆されている。しかしながら、AMLにおける役割は不明確である。本研究では、AMLモデルマウスを用いてビタミンKサイクルが白血病幹細胞に与える影響を検討することを目的とした。本研究課題の遂行により、ビタミンKサイクルの活性化がAML患者の予後良好と関連していることが示された。さらに、MLL-AF9遺伝子を用いたAMLモデルマウスにおいて、ビタミンKサイクルを阻害した結果、白血病幹細胞の割合が増加し、AMLの進行が促進されることが明らかとなった。これらの結果は、ビタミンKサイクルがAMLにおける病態制御に関与し、その制御が新たな治療戦略に繋がる可能性を示唆している。
公表論文