研究助成
2022年度 薬学系研究助成
制御性T細胞を介した免疫寛容強化への蛋白質工学的アプローチ
| 研究題目 | 制御性T細胞を介した免疫寛容強化への蛋白質工学的アプローチ |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 薬学系研究助成 |
| 所属 | 神戸学院大学 薬学部 生体機能制御学研究室 |
| 氏名 | 井上 雅己 |
| キーワード | 食物アレルギー / 制御性T細胞 / Treg / 2型TNF受容体 / TNFR2 |
| 研究結果概要 | 制御性T細胞（Treg）は、生体の免疫応答を抑制・調節するリンパ球であり、自己免疫疾患やアレルギーには、Tregによる免疫寛容の破綻が関与する。そのため、近年、Tregの機能や活性を促進する分子の創製が期待されている。我々はこれまで、Treg制御分子である2型TNF受容体（TNFR2）を選択的に活性化するTNF変異体タンパク質（TNFR2 agonist-Fc）を創製し、Tregの増幅や活性化を誘導できることを報告してきた。そこで本研究では、TNFR2 agonist-FcがTregを介した食物アレルギーの病態抑制効果を有するかを検証した。卵白アルブミン（OVA）誘導食物アレルギーマウスにおいて、TNFR2 agonist-Fc投与により、下痢症状スコアの有意な改善が認められた。さらに、血中での抗OVA-IgEおよびIgG1濃度の低下が観察された。加えて、腸間膜リンパ節において、CD4⁺Foxp3⁺ Tregは増加し、IL-4⁺ T細胞は減少した。したがって、TNFR2 agonist-Fcによる末梢Tregの誘導は、食物アレルギーの免疫病態の抑制に有用である可能性が示唆された。 |
| 公表論文 |
Ovalbumin-induced food allergy suppression via regulatory T cell expansion mediated by a TNFR2 agonist in mice. Biochemical and Biophysical Research Communications, 737:150909, 2024 An immunocytokine consisting of a TNFR2 agonist and TNFR2 scFv enhances the expansion of regulatory T cells through TNFR2 clustering. Biochemical and Biophysical Research Communications, 697:149498, 2024 Bivalent structure of a TNFR2-selective and agonistic TNF-α mutein Fc-fusion protein enhances the expansion activity of regulatory T cells. Scientific Reports, 13(1):13762, 2023 |