研究助成

2022年度 薬学系研究助成

イオン液体を用いた皮内がん細胞への効率的な核酸医薬経皮送達による革新的メラノーマ治療法の開発

研究題目 イオン液体を用いた皮内がん細胞への効率的な核酸医薬経皮送達による革新的メラノーマ治療法の開発
年度/助成プログラム 2022年度 薬学系研究助成
所属 和歌山県立医科大学 薬学部
氏名 岩尾 康範
キーワード イオン液体 / エダラボン / 経鼻投与 / Nose-to-Brain / 脳梗塞
研究結果概要 本研究では、イオン液体(IL)を用いた皮内への効率的な核酸医薬送達によるメラノーマ治療法の開発を目的としていたが、研究期間中の代表者変更により当初予定の実験を行うことが難しくなった。そこで、鼻粘膜から脳への直接薬物送達経路であるNose-to-Brain(N2B)経路を利用した脳保護薬イオン液体の脳内送達と脳梗塞治療に関する検討を行った。脳梗塞や筋萎縮性側索硬化症の治療薬であるエダラボン(Eda)がアニオン構造を取ることに着目し、適切なカチオンと反応させ、生体適合性の高いEda-ILを新たに開発した。IL化によりEdaの水への溶解性が顕著に増大するとともに、限られた体積の鼻腔内に一度の投与で高用量のEdaの投与が可能となった。Eda-ILの経鼻投与は、Eda溶液と比較してEdaの効率的な脳内送達を可能とし、脳梗塞モデルラットにおいて高い治療効果を発揮した。以上により、ILの技術がN2B経路を介した脳への薬物送達に有用であることが示唆されたことに加え、IL化脳保護薬の経鼻投与による脳梗塞治療を世界で初めて達成した。本検討で得られた知見を、皮膚内への高分子医薬送達に応用する予定である。
公表論文 2023年度より福田 達也へ代表者変更
Intracerebral delivery of the ionic liquid form of edaravone via nose-to-brain delivery route for treating cerebral ischemia/reperfusion injury. Journal of Controlled Release.383, 113834 (2025).
Tatsuya Fukuta* (*Corresponding author), Kotone Yoshimura, Rikuto Ihara, Katsuhiko Minoura, Mayumi Ikeda-Imafuku, Kazunori Kadota.