研究助成

2022年度 薬学系研究助成

腎線維化治療を指向するアルギニンメチル化酵素PRMT5の機能的役割の解析

研究題目 腎線維化治療を指向するアルギニンメチル化酵素PRMT5の機能的役割の解析
年度/助成プログラム 2022年度 薬学系研究助成
所属 静岡県立大学 薬学部 分子病態学分野
氏名 刀坂 泰史
キーワード PRMT5 / 腎臓線維化 / 慢性腎臓病 / 筋線維芽細胞 / TGF-β
研究結果概要 線維化疾患の克服は重要な臨床的課題である。本研究では、線維化におけるPRMT5の機能とPRMT5阻害剤の薬理効果を解明することを目的とした。心臓線維化におけるPRMT5の機能について報告した (Nat Commun 2024)。さらに腎臓線維化におけるPRMT5の機能解析を行った。線維芽細胞においてPRMT5をノックダウンすることで、TGF-βによるα-SMAの発現増加は抑制された。次に、PRMT5阻害剤の効果を検討した。その結果、 PRMT5阻害剤添加により、α-SMAの発現亢進は有意に抑制された。線維芽細胞特異的PRMT5-KOマウスに片側尿管結紮手術 (UUO) によって間質線維化モデルを作成した。組織染色の結果、UUOによって増加した線維化はPRMT5のKOにより有意に減少した。最後に腎臓線維化に対するPRMT5阻害剤の薬理効果を検討した。その結果、UUOによって亢進した腎臓線維化はPRMT5阻害剤投与により減少した。以上より、PRMT5は腎臓線維化に重要な分子であり、PRMT5阻害剤が腎臓線維化を改善することが示唆された。
公表論文 Fibroblast-specific PRMT5 deficiency suppresses cardiac fibrosis and left ventricular dysfunction in male mice. Nat Commun. 2024;15:2472.