研究助成

2022年度 薬学系研究継続助成

低エネルギー光で制御可能なケージド化合物群の開発

研究題目 低エネルギー光で制御可能なケージド化合物群の開発
年度/助成プログラム 2022年度 薬学系研究継続助成
所属 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 薬化学分野
氏名 家田 直弥
キーワード ケージド化合物 / 一酸化窒素 / 光操作
研究結果概要 近年、光によって様々な生理活性分子の活性を制御する研究が発展しているが、光に応答して生理活性分子を放出するケージド化合物の制御光は、これまで、組織傷害性などが懸念される紫外光といった高エネルギー光に依存するものだった。そこで提案者は、低エネルギー光での制御を実現するために、光誘起電子移動(PeT)をトリガーとし、低エネルギー光に応答して一酸化窒素(NO)を放出する化合物、および光解除性保護基(PPG)の開発を行ってきた。本研究期間内では、より生体内でより効率的に生理活性分子を放出させるために、ケージドNOおよびPPGの構造活性相関研究を行った。ケージドNOにおいては、NO放出部位に様々な置換基を導入すると、光反応効率が変化することを見出した。また、これまで開発してきたPeT型PPGを基に、薬剤分子を保護した化合物を開発し、この薬剤活性を低エネルギー光で制御できることを示した。今回の研究期間内で得られた知見は、生体深部で効率的に生理活性を制御できる手法を確立するための有用な情報になると期待される。
公表論文 “A BODIPY-picolinium-cation conjugate as a blue-light-responsive caged group”, Naoya Ieda, Akira Nakamura, Natsumi Tomita, Kei Ohkubo, Ryo Izumi, Yuji Hotta, Mitsuyasu Kawaguchi, Kazunori Kimura, and Hidehiko Nakagawa., RSC Adv. 2023, 13, 26375-26379.
“Substituent Effects at the N-Nitrosoaminophenol Moiety of a Photoinduced-Electron-Transfer-Driven Nitric Oxide Releaser”, Naoya Ieda, Mitsuyasu Kawaguchi, and Hidehiko Nakagawa., Chem. Pharm. Bull. 2023, 71, 447-450.