研究助成

2022年度 特定研究助成

感覚創薬技術による脳、肝臓、腸の保護メカニズムの解明

研究題目 感覚創薬技術による脳、肝臓、腸の保護メカニズムの解明
年度/助成プログラム 2022年度 特定研究助成
機関名 関西医科大学 附属生命医学研究所
代表者名 小早川 高
キーワード 感覚創薬 / 低酸素脳死 / 抗炎症 / チアゾリン類恐怖臭 / 人工冬眠・生命保護医療
研究結果概要 私たちが提唱する感覚創薬はチアゾリン類恐怖臭(Thiazoline-related fear odors: TFOs)刺激により三叉・迷走神経のTRPA1を介し脳幹腕傍核へ危機情報を伝達することで人工冬眠・生命保護状態を誘導し、救急疾患やその他の疾患を治療する革新的な医療技術である。本研究では感覚創薬の作用機序の解明に基づく臨床実用化の推進を目指した。これまでに、TFOが低体温・低代謝を基盤とする保護状態を誘導すること、これに伴い、低酸素障害、脳梗塞、心筋梗塞、敗血症性ショックモデルなどを治療することが確認されていた。新たに、脳中枢の神経活動制御と代謝変動により神経保護や脳機能向上の効果を持つ分子を増加させ、神経変性疾患や精神疾患モデルを治療する効果、脳幹による自律神経制御を介し肺や肝臓などで抗炎症作用を誘導し、炎症性疾患モデルを治療する効果などを確認した。低酸素脳死の原因は不明であったが、in vivo多色蛍光イメージングなどで、その基盤となる核心シグナルを解明し、このシグナルをTFOが制御し神経保護を達成する原理を解明した。感覚創薬による多様な薬効とその基盤原理の解明が進んだ。
公表論文