研究助成

2022年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)

心筋細胞内局所プロテオスタシスの理解と新概念に基づく心不全治療戦略の確立

研究題目 心筋細胞内局所プロテオスタシスの理解と新概念に基づく心不全治療戦略の確立
年度/助成プログラム 2022年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)
所属 大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
氏名 木岡 秀隆
キーワード プロテオスタシス / シャペロン / ユビキチン・プロテアソーム系 / 心筋細胞
研究結果概要 心筋細胞の恒常性破綻は心不全に繋がり、心不全患者は我が国で約120万人に及ぶと推計されている。本研究では、心筋細胞恒常性維持機構としてタンパク質の恒常性(プロテオスタシス)に着目し、研究を進めた。心筋細胞の筋小胞体特異的コシャペロンBAG5が、シャペロンHSC70と共に、細胞内ストレス状態に応じて、結合タンパク質を脱NEDD化酵素であるCOP9シグナロソームからユビキチンリガーゼであるSCF複合体へと乗り換えることによってタンパク質恒常性維持に寄与している事を生化学的に明らかにした。機能面では、HSC70は、この分子間乗り換えにより、SCF複合体のユビキチン活性を、適切な時に活性化する事を明らかにし、論文報告した。更にBAG5/HSC70の機能不全によって、心筋プロテオスタシス不全が引き起こされることを、ラット培養心筋細胞、iPS分化心筋細胞、マウス心臓組織、ヒト心臓組織において確認した。更に、AAVベクターを用いたBAG5の補充によって、心筋プロテオスタシス不全が改善することを示し、新しい心不全の概念と治療法の可能性を示した。
公表論文 HSC70 coordinates COP9 signalosome and SCF ubiquitin ligase activity to enable a prompt stress response. EMBO Rep. 2025 Mar;26(5):1344-1366.