研究助成

2023年度 ライフサイエンス研究助成

運動環境の有無と油脂の質による新しい抗肥満戦略

研究題目 運動環境の有無と油脂の質による新しい抗肥満戦略
年度/助成プログラム 2023年度 ライフサイエンス研究助成
所属 明治大学 農学部農芸化学科栄養生化学研究室
氏名 金子 賢太朗
キーワード 脂質構造 / 運動意欲 / あぶらの構造 / 運動環境 / 脂質の質
研究結果概要 日本では成人の約4割が運動不足とされ、活動量低下は肥満・生活習慣病の発症や健康寿命短縮の重要因子である。本研究では、摂取する脂質の「構造」の違いが脳機能、情動行動、運動意欲を制御するかを検討した。脂肪酸組成が類似する一方、トリアシルグリセロール中の結合位置が異なる脂質を用い、マウスに給餌した。その結果、回転カゴを備えた運動環境下では、特定の脂質摂取により自発的運動量が増加し、最大運動強度ではなく運動時間の延長が認められることを見出した。これに伴い、過栄養状態における体重増加も抑制された。一方、非運動環境下では体重変化の傾向が逆転し、運動環境の有無により正常体重維持に寄与する脂質構造が異なる可能性が示された。メカニズム解析では、視床下部オレキシン遺伝子発現量が上昇し、オレキシン受容体阻害薬の脳室内投与により効果が消失したことから、オレキシン系の関与が示された。また、運動意欲の増加に伴い、不安様行動の低減にもつながる可能性が示された。以上より、脂質構造が運動意欲や情動行動を制御し得る可能性を示し、「自然に動きたくなるカラダ」を支える新たな栄養戦略の研究基盤形成に向けた端緒となる成果を得た。
公表論文 The small GTPase Rap1 in POMC neurons regulates leptin actions and glucose metabolism, Molecular Metabolism, Volume 95, May 2025, 102117.
Low-dose metformin requires brain Rap1 for its antidiabetic action, Sci Adv
. 2025 Aug;11(31):eadu3700.