研究助成

2023年度 ライフサイエンス研究助成

分子シミュレーションとナノポアシーケンスによるヒストンリサイクルのシャペロン機構の解明

研究題目 分子シミュレーションとナノポアシーケンスによるヒストンリサイクルのシャペロン機構の解明
年度/助成プログラム 2023年度 ライフサイエンス研究助成
所属 京都大学 大学院理学研究科生物物理学系 理論生物物理学分科
氏名 寺川 剛
キーワード 粗視化分子動力学シミュレーション / ナノポアシーケンシング / ヒストンシャペロン / ヒストンリサイクリング / エピジェネティクス
研究結果概要 本研究では、真核生物におけるDNA複製時のクロマチン動態を分子レベルで解明することを目的とした。CMGヘリカーゼに関しては、ATP駆動の構造変化を取り入れた粗視化分子動力学シミュレーションにより、4つのDNA結合状態間の非対称な遷移が一方向(3′→5′)の転移運動を生み出すことを明らかにした。また、ヌクレオソームはヘリカーゼ進行の障壁として作用するが、ヒストンシャペロンFACTがDNAの部分的巻き戻しを促進することでこの障壁を低減し、同時に不適切なヒストン移動を抑制することを見出した。一方、H3/H4ヒストンのリサイクリング機構については、Mcm2のN末端がヒストン四量体を直接娘鎖へ受け渡す能力を有することを示し、Cdc45を介する経路(主としてリーディング鎖)と非依存経路(主としてラギング鎖)という二つの主要経路の存在を明らかにした。以上の結果から、複製フォークにおけるヘリカーゼの運動とヒストンの再配置は相互に密接に連携して制御されており、その協調的作用がエピジェネティック情報の正確な継承を支えていることが示唆された。
公表論文 "Molecular mechanism of parental H3/H4 recycling at a replication fork", Nature Communications (2024) 15:9485

"Mechanistic models of asymmetric handover-hand translocation and nucleosome
navigation by CMG helicase", Nature Communications (2025) 16:10304