研究助成

2023年度 医学系研究助成(感染領域)

多剤高度耐性細菌の新たな治療戦略構築に資する研究

研究題目 多剤高度耐性細菌の新たな治療戦略構築に資する研究
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(感染領域)
所属 九州大学病院 医療技術部・検査部門
氏名 相原 正宗
キーワード 細菌 / グラム陰性桿菌 / 薬剤耐性 / 遺伝子増幅 / IS26
研究結果概要 世界的に拡大する薬剤耐性細菌は、治療選択肢の制限や患者予後の悪化、感染対策コストの増大など、医療現場に深刻な影響を及ぼしており、その対策は急務である。本研究では、最も警戒すべき多剤耐性グラム陰性桿菌の臨床分離株を対象にゲノム解析を行い、患者体内で薬剤耐性がさらに強化される分子機構の解明を目指した。その結果、抗菌薬曝露下の薬剤耐性細菌では、既存の薬剤耐性遺伝子の増幅を契機として多様な遺伝子変化が蓄積しており、生体内における段階的な薬剤耐性強化の実態を明らかにした。さらに、この遺伝子増幅には可動遺伝因子である挿入配列が深く関与していることを見出し、2つのIS26に挟まれた長鎖の薬剤耐性関連DNA領域が独立した環状DNAとして細胞内に蓄積する、特徴的かつ動的な遺伝子増幅機構を明らかにした。今後は、本研究で得られた知見を基盤として、新たな薬剤耐性対策や治療戦略の構築につなげていく予定である。
公表論文 1. Generation and maintenance of the circularized multimeric IS26-associated translocatable unit encoding multidrug resistance. Commun Biol. 2024 May 18;7(1):597. doi: 10.1038/s42003-024-06312-4.
2. Stepwise within-host evolution of a blaCTX-M-27-positive Klebsiella pneumoniae clone under changing antimicrobial pressures leading to enhancement of β-lactam resistance. Int J Antimicrob Agents. 2026 May 8:107840. doi: 10.1016/j.ijantimicag.2026.107840.