研究助成

2023年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

高次領域から行動につながる入力を受ける感覚情報処理

研究題目 高次領域から行動につながる入力を受ける感覚情報処理
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 立命館大学 生命科学部 生命情報学科 脳回路情報学研究室
氏名 塩谷 和基
キーワード 嗅皮質 / ventral tenia tecta / 内側前頭前野 mPFC / 文脈情報 / 嗅覚
研究結果概要 私はこれまでに、嗅皮質の一部であるventral tenia tecta(vTT)が高次脳領域であるmedial prefrontal cortex(mPFC)から直接入力を受けることを明らかにした。また、mPFCを中心とした回路が文脈情報を形成することも報告されている。そこで私は、vTTが末梢からの嗅覚情報と高次領域からの文脈情報を統合する重要な領域であると考え、匂いに文脈情報を付加したGo/No-Go課題を構築した。マウスは約2週間で正答率90%に達し、課題遂行中のvTT神経活動を記録した結果、各神経細胞が匂い提示時、移動時、報酬期待時、報酬獲得時など文脈依存的な行動状態に応答することを明らかにした。この応答特性は別課題でも再現され、vTTが匂い入力のみならず行動文脈情報をコードしていることが示された。さらに解剖学的知見から、mPFC→vTT経路が行動状態に応じたtop-down情報を供給している可能性が示唆された。そこで、単一神経活動記録と光遺伝学を組み合わせ、mPFC由来の文脈情報がvTT機能に果たす役割を検証するとともに、この情報表現が他感覚にも共通するかを明らかにする。
公表論文 “Encoding of odor information and reward anticipation in anterior cortical amygdaloid nucleus”, Kazuki Shiotani, Yuta Tanisumi, Junya Hirokawa, Yoshio Sakurai, Hiroyuki Manabe, iScience, Volume 29, Issue 2114590, 2026.02, DOI: 10.1016/j.isci.2025.114590