研究助成

2023年度 医学系研究助成(基礎)

オートファジー系新規脂質分解システム制御因子の網羅的探索とその機能解明

研究題目 オートファジー系新規脂質分解システム制御因子の網羅的探索とその機能解明
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(基礎)
所属 国立精神・神経医療研究センター  神経研究所 疾病研究第四部
氏名 酒井 了平
キーワード ミクロリポファジー / 脂肪滴 / リソソーム / オートファジー / 脂質代謝
研究結果概要 本研究では、リソソーム膜タンパク質LAMP2Bが脂肪滴(LD)分解機構であるミクロリポファジーを制御することを明らかにした。具体的には、in vitro結合実験により、LAMP2Bの細胞質領域にリン脂質のホスファチジン酸が結合することを見出した。また、培養細胞を用いた解析により、この結合を介してリソソームとLDの相互作用が促進され、LDのリソソームへの取り込みが仲介されることを示した。その結果、LDの主要構成成分であるトリアシルグリセロール(TAG)のリソソーム内酵素LIPA依存的な加水分解が促進されることを確認した。この過程は、細胞質リポリシスやマクロオートファジーとは異なり、ESCRT依存的に進行することも明らかとなった。加えて、光-電子相関顕微鏡法を用いて、LDがリソソームに直接取り込まれる過程を細胞内で可視化した。マウスを用いた解析では、LAMP2B過剰発現により高脂肪食誘導性の肥満、インスリン抵抗性および炎症が抑制され、脂質代謝の改善が認められた。以上より、LAMP2B依存的ミクロリポファジーは脂質代謝制御の新たな分子基盤であり、肥満関連疾患の治療標的となる可能性が示された。
公表論文 The lysosomal membrane protein LAMP2B mediates microlipophagy to target obesity-related disorders, Cell Reports, 44(6):115829, June 24, 2025. doi: 10.1016/j.celrep.2025.115829