研究助成

2023年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)

tRNAのメチル化修飾の欠失が知的障害を引き起こす分子メカニズムの解明

研究題目 tRNAのメチル化修飾の欠失が知的障害を引き起こす分子メカニズムの解明
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(精神・神経・脳領域)
所属 熊本大学 大学院生命科学研究部(医)分子生理学講座
氏名 中條 岳志
キーワード 知的障害 / tRNA修飾 / 翻訳
研究結果概要 私達は本研究開始までにtRNAメチル化酵素TRMT10Aの欠損マウスを作出し、記憶学習能力に問題が生じることと長期増強が持続しないことを解明していたが、分子レベルで何が起きているかは未解明であった。本研究は、欠損により知的障害が引き起こされる分子機構の解明を目的とした。
初めに脳のtRNA-sequencingを行なった結果、Trmt10a欠損マウス脳では開始コドンを翻訳するtRNAとGlnを翻訳するtRNAの定常状態量が減少していることが判明した。さらに、翻訳の状態を調べるためにRibosome profiling実験を行なった結果、Trmt10a欠損マウス脳では開始コドンとGlnコドンの翻訳の低下が強く示唆された。さらに、各mRNA種の翻訳効率を定量した結果、翻訳が乱れたmRNA群には神経関連のmRNA群が濃縮していた一方でHouse-keeping遺伝子のmRNA群は濃縮していないことを見出した。以上より、本研究は、tRNAメチル化酵素TRMT10Aを欠損したマウス脳では特定のtRNAの分解により対応するコドン翻訳が低下することが知的障害の原因である可能性を強く示唆した。
公表論文 TRMT10A dysfunction perturbs codon translation of initiator methionine and glutamine and impairs brain functions in mice.
Nucleic Acids Research, 52(15), 9230-9246.
Roland Tresky, Yuta Miyamoto, Yu Nagayoshi, Yasushi Yabuki, Kimi Araki, Yukie Takahashi, Yoshihiro Komohara, Huicong Ge, Kayo Nishiguchi, Takaichi Fukuda, Hitomi Kaneko, Nobuko Maeda, Jin Matsuura, Shintaro Iwasaki, Kourin Sakakida, Norifumi Shioda, Fan-Yan Wei, Kazuhito Tomizawa, Takeshi Chujo.