研究助成

2023年度 医学系研究助成(感染領域)

コウモリがゲノムに獲得した内在性ウイルス様配列がマールブルグウイルスの生態にもたらす役割の解明

研究題目 コウモリがゲノムに獲得した内在性ウイルス様配列がマールブルグウイルスの生態にもたらす役割の解明
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(感染領域)
所属 岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 病原ウイルス学分野
氏名 小川 寛人
キーワード 内在性ウイルス様配列 / マールブルグウイルス / コウモリ
研究結果概要 フィロウイルス科に属するマールブルグウイルス(MARV)やエボラウイルスは、ヒトに致死率の高い出血熱を引き起こす病原体である。エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)からMARVが分離されたことで、本種は有力な自然宿主と考えられているが、その生態やウイルスとの共生機構には未解明な点が多い。コウモリがウイルスと共存できる要因としては、ウイルスの細胞侵入能の差異ではなく、細胞内における増殖過程を制御する機構の関与が考えられる。コウモリを含む哺乳類のゲノムには、過去の感染の痕跡である内在性フィロウイルス様配列(EFLs)が存在し、これらがウイルス感染や増殖に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、コウモリを自然宿主とするMARVに着目し、コウモリゲノム内のEFLsの役割解明を目的として機能解析を行った。その結果、EFLsがストレス関連遺伝子の発現制御に関与することが示唆された。EFLsは代謝ストレスなどによる細胞傷害を調節することでウイルスの過剰な増殖を抑制し、コウモリとMARVの安定した共存関係の維持に寄与する可能性が考えられる。
公表論文 Detection of alphacoronaviruses in Rhinolophus ferrumequinum in Ehime, Japan. Infection, Genetics and Evolution. 134 (2025) 105809. DOI: 10.1016/j.meegid.2025.105809