研究助成

2023年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))

相分離を介した転写制御機構の理解に基づく膵癌分子サブタイプ特異的治療法の開発

研究題目 相分離を介した転写制御機構の理解に基づく膵癌分子サブタイプ特異的治療法の開発
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
所属 東京大学 医学部 消化器内科
氏名 山本 恵介
キーワード 膵癌 / Basal-like型膵癌 / プロテインノックダウン / CDK12 / オルガノイド
研究結果概要 本研究では、患者由来膵癌オルガノイドを用いた薬剤スクリーニングにより、CDK12阻害がclassical型に比してbasal-like型膵癌に選択的な抗腫瘍効果を示すことを見出した。複数の膵癌細胞株を用いた検討でも、CDK12阻害またはCRISPR-Cas9によるCDK12遺伝子破壊により、basal-like型膵癌で顕著なDNA損傷、アポトーシス誘導、増殖抑制が認められた。さらに、内因性CDK12を急速分解可能なdTAG細胞を樹立し、各種CDK12変異体によるレスキュー実験を行った。その結果、野生型CDK12はCDK12喪失に伴う細胞死を抑制したが、キナーゼ活性喪失変異体では抑制効果が認められなかった。一方、天然変性領域を欠損した変異体では野生型と同様のレスキュー効果が得られた。以上より、basal-like型膵癌におけるCDK12依存性は、核スペックル内での液滴構造形成そのものではなく、主として非液滴状態で発揮されるCDK12キナーゼ活性に依存することが示唆された。現在、細胞周期依存的なCDK12機能を解析し、治療標的としての意義をさらに検討している。
公表論文