研究助成

2023年度 医学系研究助成(感染領域)

肺胞マクロファージを利用したウイルス感染防御

研究題目 肺胞マクロファージを利用したウイルス感染防御
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(感染領域)
所属 長崎大学  高度感染症研究センター ウイルス免疫動態研究分野
氏名 川﨑 拓実
キーワード インフルエンザウイルス / CD8+T細胞 / mRNA-LNP / mRNAワクチン
研究結果概要 キラーT細胞のみを介したウイルス感染防御機構を明らかにするため、インフルエンザウイスの核タンパク質NPに対するmRNAワクチン(NP-LNP)を設計し、NP-LNP接種後のインフルエンザウイルス感染応答について検証した。野生型とNP-LNP投与群にそれぞれインフルエンザウイルスを感染させたところ、NP-LNP投与群では、体重減少が抑制し、生存率が上昇した。また、肺組織中のインフルエンザウイルス価も調べたところ、NP-LNP投与群ではウイルス複製が抑制されていることがわかった。NP-LNP投与群ではキラーT細胞が急速に活性化、増加することで、キラーT細胞による感染細胞の除去やインターフェロンガンマの産生を通じて、抗ウイルス状態にすることで、ウイルスの感染を抑制していることが考えられた。このモデルを用いて、実際に肺胞マクロファージが感染後早期のキラーT細胞の活性化と誘導に重要な役割を果たしているかを肺胞マクロファージ欠損マウスやMHC欠損マウスを用いて検証することを目指している。
公表論文 HuR (ELAVL1) regulates the CCHFV minigenome and HAZV replication by associating with viral genomic RNA. PLoS Negl Trop Dis, 18(9), e0012553, 2024, Sep 30. doi: 10.1371/journal.pntd.0012553