研究助成

2023年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

男性の妊孕性温存を可能とするマイクロビーム放射線治療法の開発

研究題目 男性の妊孕性温存を可能とするマイクロビーム放射線治療法の開発
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 北海道大学 大学院保健科学研究院 放射線生物学・腫瘍学研究室
氏名 福永 久典
キーワード がん・生殖医療 / 放射線治療 / 幹細胞動態 / マイクロビーム
研究結果概要 本研究は、放射線治療に伴う男性不妊克服を目的として、空間分割照射による生物応答に着目し、妊孕性温存を可能とする新たな放射線治療概念の基盤構築を行った。とくに、マイクロビーム照射により生じる組織レベルのtissue-sparing effect(TSE)に注目し、その成立条件および生物学的機構の解明を進めた。さらに、精子形成を生体内でリアルタイムに可視化可能なAcr-Lucノックインマウスを開発し、マイクロビーム放射線治療後の精子形成能を同一個体で経時的かつ定量的に評価することに成功した。本モデルにより、従来の交配試験や解剖に依存していた生殖毒性評価を刷新し、生殖機能の動的変化を非侵襲的に追跡可能とした。また、線量依存的な可逆的および不可逆的な精子形成障害と回復過程を明瞭に可視化した。今後、マイクロビーム照射の空間幾何学的条件と機能回復との関係を体系化し、幹細胞動態モデルと統合することで、放射線不妊を「線量閾値」から「空間設計」への再定義を目指す。これらの成果は、がん・生殖医療における妊孕性温存戦略の高度化に資するとともに、創薬や環境リスク評価における前臨床基盤を提供するものである。
公表論文 Longitudinal Analysis of Male Fertility Using an Acr-Luc Knock-In Mouse Model: A Preclinical Platform for Reproductive Toxicity Testing, MedComm, 2026; 7: e70568.