研究助成

2023年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

肺癌における初期生存に着目した新規治療法の開発

研究題目 肺癌における初期生存に着目した新規治療法の開発
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 京都大学 大学院 医学研究科呼吸器内科学
氏名 吉田 博徳
キーワード BRAF V600E陽性肺癌 / ALK陽性肺癌 / YAP1/TEAD経路 / survivin / Bcl-xL/MCL-1
研究結果概要 本研究では、ドライバー遺伝子陽性肺癌における分子標的治療抵抗性の克服を目的として、YAP1/TEAD経路および抗アポトーシス機構に着目した。BRAF V600E変異陽性肺腺癌では、患者由来細胞株KTOR81を樹立し、TEAD1阻害薬VT103がBRAF阻害薬ダブラフェニブの抗腫瘍効果を増強することを示した。その機序として、YAP1/TEAD1複合体により転写制御されるBIRC5/survivin発現低下を介したアポトーシス誘導を明らかにした。さらに、xenograftモデルにおいても併用療法は腫瘍再増大を抑制し、明らかな毒性増強を認めなかった。一方、ALK陽性肺癌では、Bcl-xL/MCL-1発現に基づく分類がALK-TKI効果や予後と関連する可能性を示し、各発現型に応じた抗アポトーシス因子阻害薬やVT103との併用療法が有効となる可能性が示唆された。以上より、YAP1/TEAD経路と抗アポトーシス因子は、ドライバー遺伝子陽性肺癌の治療抵抗性を克服する有望な標的であり、分子病態に基づく層別化併用療法の開発につながる可能性が示唆された。
公表論文 Novel TEAD1 Inhibitor VT103 Enhances Dabrafenib Efficacy in BRAF V600E Mutated Lung Adenocarcinoma via Survivin Downregulation. Cancer Sci. 2025 Jul;116(7):1883-1896.