研究助成
2023年度 医学系研究助成(がん領域(基礎))
腸内細菌由来成分を活用した新規膵がん治療法の創出
| 研究題目 | 腸内細菌由来成分を活用した新規膵がん治療法の創出 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2023年度 医学系研究助成(がん領域(基礎)) |
| 所属 | 北海道大学 遺伝子病制御研究所 がん制御学分野 |
| 氏名 | 山村 凌大 |
| キーワード | 膵がん / 腸内細菌 / 代謝産物 / 新規治療法 / マルチオミクス |
| 研究結果概要 | 本研究で申請者は、難治性癌である膵管腺癌を対象に腸内細菌叢と腫瘍進展の関係を解析した。申請者はまず北海道大学病院にて臨床研究を実施し、膵管腺癌患者および健常対照者の糞便検体を採取した。腸内細菌叢解析および網羅的代謝産物分析の結果、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸の一種である酢酸の糞便中濃度が健常対照者と比較して著しく低下していることを明らかにした。さらにこの酢酸低下が、細胞内のエネルギー状態を感知し腫瘍抑制に関わるAMPK経路の活性低下と関連することを示した。また、ショウジョウバエおよびマウス膵癌モデルを用いた検証では、MEK阻害剤とAMPK活性化剤を併用することで、各々の単剤投与よりも顕著に強い抗腫瘍効果が得られた。また、この併用療法は、癌の周囲で腫瘍の進展や薬剤抵抗性に関わる線維芽細胞の性質を変化させ、腫瘍微小環境を改善することも示した。本研究は、腸内環境の変化が癌細胞内の代謝・増殖シグナルと結びつき、膵癌の進展に影響することを示すものである。これらの成果は、腸内細菌由来の代謝物や細胞内代謝経路に着目した、新たな膵癌治療戦略の開発につながることが期待される。 |
| 公表論文 | Yamamura, Ryodai, et al. "Co-targeting an AMPK–MAPK axis reprograms fibroblasts and suppresses PDAC." bioRxiv (2026): 2026-03. |
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