研究助成

2023年度 医学系研究継続助成(がん領域(基礎))

KRAS/LKB1変異型肺がんが示す免疫チェックポイント阻害薬治療耐性の克服

研究題目 KRAS/LKB1変異型肺がんが示す免疫チェックポイント阻害薬治療耐性の克服
年度/助成プログラム 2023年度 医学系研究継続助成(がん領域(基礎))
所属 がん研究会 がん研究所 細胞生物部
氏名 北嶋 俊輔
キーワード KRAS変異型肺がん / cGAS/STING経路 / LKB1/STK11変異 / STINGアゴニスト / 免疫チェックポイント阻害薬
研究結果概要 KRAS変異型非小細胞肺がん(NSCLC)の約1/3を占めるKRAS;LKB1変異(KL)型NSCLCは、免疫原性が低く、PD-1阻害薬に抵抗性を示す。本研究では同系マウスに移植可能なKL型肺腺がん細胞モデルを作製し、腫瘍免疫微小環境およびPD-1阻害薬感受性を解析した。その結果、本モデルはヒトKL型肺腺がんと同様に、CD8陽性T細胞などの細胞傷害性リンパ球の腫瘍内浸潤が乏しく、抗PD-1抗体に対して明確な治療抵抗性を示すことを確認した。さらに、KL型肺腺がんにおけるSTING発現低下が抵抗性に関与する可能性を踏まえ、抗PD-1抗体とSTINGアゴニストの併用療法を検討したところ、各単剤投与と比較して有意な腫瘍退縮効果が認められた。本年度は、治療に伴う腫瘍組織内の遺伝子発現変化および免疫微小環境の再構築を、RNAシークエンス解析、フローサイトメトリー、多重免疫染色により包括的に解析した。その結果、STING経路の活性化によりCD8陽性T細胞の腫瘍内遊走が促進され、免疫抑制性骨髄由来細胞(MDSC)が減少するなど、免疫賦活的な微小環境への変化が示された。
公表論文 1.MPS1 inhibition primes immunogenicity of KRAS-LKB1 mutant lung cancer. Cancer Cell, 40(10):1128-1144, 2022.
2.Targeting the loss of cGAS/STING signaling in cancer. Cancer Sciences, 114(10): 3806-3815, 2023
3.RNA sensing induced by chromosome missegregation augments anti-tumor immunity. Molecular Cell, 85(4):770-786, 2025