研究助成

2023年度 薬学系研究助成

細胞老化ミクログリアに着目した老年期精神神経疾患の病態形成メカニズムの解明 と 新規治療薬の開発

研究題目 細胞老化ミクログリアに着目した老年期精神神経疾患の病態形成メカニズムの解明 と 新規治療薬の開発
年度/助成プログラム 2023年度 薬学系研究助成
所属 広島大学 大学院医系科学研究科 (薬) 薬効解析科学研究室
氏名 中村 庸輝
キーワード ミクログリア / 細胞老化 / うつ病 / 不安症 / 薬理学
研究結果概要 本研究では、細胞老化ミクログリアに伴う機能変調が老年期精神神経疾患の発症に関わる内因であるとの仮説に基づき、その病態形成メカニズムの解明を試みた。
行動薬理学的評価により、雄性マウスは加齢に伴いうつ・不安様行動が有意に増加し、海馬ミクログリアのセルテリトリーが有意に低下することを見出した。次に、PLX3397によるミクログリア除去を行ったが、老齢マウスのうつ・不安様症状に改善は認められなかった。そこで除去後の海馬組織を用いてRNA-シークエンス解析を行った結果、ミクログリアの有無に関わらず、老齢脳では一型インターフェロン(IFN)シグナルが共通して有意に発現上昇していることを突き止めた。実際に、加齢に伴い海馬における IFN-α および IFN-β の mRNA 発現は有意に上昇していた。さらに、ミトコンドリア障害を起点とするIFN発現上昇機構を解明し、原著論文の投稿(in revision)および総説論文の発表を行った。
以上より、老年期うつ・不安症状の病態には脳内の一型IFNシグナルが重要な役割を果たす可能性が示唆され、新たな治療標的を提示した。
公表論文 Aging-related Dysregulation of Energy Metabolism and Mitochondrial Dynamics in Microglia; Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 76(3):2399-244 (2025).