研究助成

2022年度 生命科学研究助成

組織マクロファージの定数維持機構の解明

研究題目 組織マクロファージの定数維持機構の解明
年度/助成プログラム 2022年度 生命科学研究助成
所属 日本医科大学 大学院医学研究科分子遺伝医学分野
氏名 酒井 真志人
キーワード 組織マクロファージ / 肝臓 / クッパー細胞 / 鉄恒常性 / 老化
研究結果概要 本研究では、組織マクロファージの定数維持機構を解明するために、肝臓をモデルとした解析を実施した。肝臓の胎生由来の組織マクロファージであるクッパー細胞は、出生後も自己複製により維持されているが、脱落すると、循環中の単球が肝類洞に定着して、自己複製能を持ち、クッパー細胞に機能的に類似した単球由来の肝臓マクロファージへ分化する。本研究では、クッパー細胞の誘導性欠失システムを用いて、肝類洞ニッシェがマクロファージの数をどのように感知・調整しているかを検討し、特定の代謝関連経路の変化が関与する可能性を見出した。また、加齢により肝臓マクロファージ集団やCD8 T細胞の構成が変化することが示された。さらに、溶血ストレス下で誘導される鉄処理型マクロファージ(iron-recycling macrophage)の分化および維持においても加齢の影響が認められた。以上の結果は、肝臓マクロファージの定数制御が、発生起源・加齢・環境変化に応じて調節される動的なプロセスであることを示唆している。
公表論文