研究助成
2022年度 医学系研究助成（がん領域（臨床））
超微量腫瘍細胞からでも可能な新たながん遺伝子パネル検査法の開発- Whole genome amplification法の細胞診検体への応用-
| 研究題目 | 超微量腫瘍細胞からでも可能な新たながん遺伝子パネル検査法の開発- Whole genome amplification法の細胞診検体への応用- |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究助成（がん領域（臨床）） |
| 所属 | 山梨県立中央病院 ゲノム解析センター/検査部 |
| 氏名 | 雨宮 健司 |
| キーワード | 全ゲノム増幅法 / がんパネル検査 / precision medicine / 細胞診 |
| 研究結果概要 | 本研究は、限られた腫瘍細胞しか得られない肺がんのゲノム解析の課題に対し、細胞診検体からの全ゲノム増幅（cyto-WGA）を深層標的シーケンスに適用し、FFPE検体と比較評価した（対象58遺伝子パネル、25患者）。本手法では、レーザーマイクロダイセクションにより10-20個の腫瘍細胞を採取し、パパニコロウ染色が最も効率的な増幅を可能とした。 結果、cyto-WGAはFFPEよりもDNAの質・量ともに高かった。シーケンス均一性やオンターゲット率は増幅バイアスによりFFPEより低い傾向にあったものの、十分なカバレッジ深度を確保。コピー数変異の検出には不向きとされた一方、重要な点として、がん遺伝子変異の63%、そして臨床的に不可欠な全16種の薬剤適合性変異が両検体間で100%一致で検出された。 この成果は、組織生検が困難な症例において、微量な細胞診検体からでも標的治療に繋がる遺伝子情報を正確に取得できる実行可能かつ有用な代替手段となることを示唆し、個別化医療の推進に大きく貢献すると期待される。 |
| 公表論文 |
Deep targeted sequencing of cytological tumor cells using whole genome amplification, Cancer cytopathology, 2023 Jan;131(1):58-68. doi: 10.1002/cncy.22653. Influence of formalin fixation duration on RNA quality and quantity from formalin-fixed paraffin-embedded hepatocellular carcinoma tissues, Pathology International, 2023 Dec;73(12):593-600. doi: 10.1111/pin.13385. Decoding Genomic Diversity to Guide Tumor Lesion-Specific Treatment of Multifocal Hepatocellular Carcinoma, Cancer Medicine, 2025 Apr;14(7):e70814. doi: 10.1002/cam4.70814. |