武田医学賞

2026年度の受賞者

The Takeda Prize for Medical Science 2026

荒瀬 尚 博士
荒瀬  尚 博士

大阪大学 教授

胡桃坂 仁志 博士
胡桃坂 仁志 博士

東京大学 教授

荒瀬 尚 博士
荒瀬  尚 博士

大阪大学 教授

荒瀬  尚 博士

大阪大学 教授

受賞テーマ

宿主―病原体相互作用に基づく疾患発症機構の解明

荒瀬 尚博士は、病原体に対する免疫応答や病原体に起因する免疫異常を解明するため、宿主―病原体相互作用に基づく免疫制御機構を長年にわたり一貫して研究してきた。特に、ウイルスやマラリア原虫など、宿主に依存して増殖する病原体が、宿主の免疫応答から逃避する機構をいかに獲得してきたのか、これに対して宿主免疫がどのように進化してきたのか、さらに、病原体が自己免疫疾患の発症にどのように関与するのかを明らかにし、顕著な業績を上げてきた。なかでも、エプスタイン・バーウイルスの再活性化などに伴うインバリアント鎖の発現低下により、MHCクラスII分子に通常は提示されない「ネオセルフ抗原」(正常な自己分子とは異なる抗原性を示す自己分子)が提示され得ることを見いだし、ネオセルフ抗原の提示が自己免疫疾患の主要な発症要因となり得ることを提唱した。この成果は、T細胞がセルフとネオセルフを識別するという新たな免疫識別機構を示し、従来のセルフーノンセルフ(自己―非自己)の識別の概念を拡張するものである。さらに、このネオセルフ認識機構は、自己免疫疾患の病態解明にとどまらず、免疫応答全般の理解にも大きな波及効果をもたらすことが期待される。

学歴・職歴

1990年3月
北海道大学 医学部 卒業
1994年3月
北海道大学 大学院医学研究科博士課程 修了
1994年4月
千葉大学 医学部 附属高次機能制御研究センター遺伝子情報分野 助手
2000年8月
カリフォルニア大学 サンフランシスコ校 研究員
2002年8月
千葉大学 大学院医学研究院 遺伝子制御学 助教授
2004年2月
大阪大学 微生物病研究所 免疫化学分野 助教授
2006年6月〜
大阪大学 微生物病研究所 免疫化学分野 教授
2007年10月〜
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 免疫化学研究室 教授
2019年4月〜
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 副拠点長

受賞歴

2011年
第14回 日本免疫学会賞
2013年
科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
2020年
第63回 野口英世記念医学賞
2021年
第58回 ベルツ賞
2023年
第4回 太田原豊一賞
2025年
持田記念学術賞
胡桃坂 仁志 博士
胡桃坂 仁志 博士

東京大学 教授

胡桃坂 仁志 博士

東京大学 教授

受賞テーマ

クロマチン構造研究によるエピジェネティクス制御機構の解明と疾患研究への展開

胡桃坂 仁志博士は、ゲノムDNAのエピジェネティックな制御機構の解明を目指し、その基盤となるクロマチンの構造と機能に関する研究を推進してきた。独自に確立したクロマチン再構成技術と構造生物学的手法を融合することにより、同研究分野を世界的に牽引してきた。これまでに、染色体のセントロメア領域、構成的ヘテロクロマチン、転写制御領域などを特徴づける特殊なクロマチン基盤構造を明らかにした。さらに、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析により、クロマチンを介した遺伝子転写、DNA損傷修復、DNA組換え、ならびに自然免疫関連分子の不活化など、多様な生命現象の制御機構を解明した。近年では、細胞由来のクロマチン複合体を直接可視化するChIP-CryoEM法を確立し、試験管内で再構成した試料にとどまらず、細胞核内に存在するクロマチン複合体の立体構造解析にも成功している。これらの成果は、クロマチンおよびエピゲノムの異常に起因するさまざまな疾患の発症機構の理解を大きく前進させるとともに、新たな治療標的の同定や創薬研究のための基盤を提供するものである。

学歴・職歴

1989年3月
東京薬科大学薬学部衛生薬学科 卒業(薬剤師免許取得)
1991年3月
東京薬科大学大学院薬学研究科 博士前期課程修了 薬学修士
1995年3月
埼玉大学大学院理工学研究科 博士後期課程修了 博士(学術)
1995年6月
National Institutes of Health(アメリカ合衆国)博士研究員
1997年6月
理化学研究所 研究員
2003年4月
早稲田大学理工学部 助教授(2007年4月より准教授)
2008年4月
早稲田大学先進理工学部 教授
2018年4月〜
東京大学 定量生命科学研究所 教授
2026年4月〜
九州大学 生体防御医学研究所 教授(兼務)

その他の職歴

2008年4月
横浜市立大学 客員教授(2022年3月まで)
2013年4月
新学術領域研究「動的クロマチン構造と機能」領域代表者(2018年3月 まで)
2015年10月
早稲田大学 総合研究機構(構造生物・創薬研究所)プロジェクト研究 所 所長(2018年3月まで)
2018年4月〜
早稲田大学 名誉教授
2018年6月〜
理化学研究所 客員主管研究員
2019年10月
JST ERATO「胡桃坂クロマチンアトラスプロジェクト」研究総括(2025 年3月まで)
2020年2月〜
東京薬科大学 客員教授
2021年4月
東京大学 総長補佐(2022年3月まで)
2024年10月〜
JST CREST「核内環境による生命力維持機構の解明」研究代表
2023年4月
東京大学定量生命科学研究所 副所長(2026年3月まで)
2026年4月~
JST 創発的研究支援事業 プログラムオフィサー

受賞歴

2018年 6月
日本生化学会 倶進会 柿内三郎記念賞
2020年11月
持田記念医学薬学振興財団 持田記念学術賞
2021年 4月
文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞
2023年 3月
上原記念生命科学財団 上原賞
2025年 3月
東レ科学振興会 東レ科学技術賞
2026年 2月
島津科学技術振興財団 島津賞