研究助成

2022年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))

浸潤性軟部肉腫の術中における腫瘍浸潤の可視化について

研究題目 浸潤性軟部肉腫の術中における腫瘍浸潤の可視化について
年度/助成プログラム 2022年度 医学系研究助成(がん領域(臨床))
所属 国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍科・リハビリテーション科
氏名 戸田 雄
キーワード 浸潤性軟部肉腫 / 酵素活性プローブ
研究結果概要 本研究は、浸潤性軟部肉腫に対する新たな術中可視化技術の開発を目的として実施された。軟部肉腫は多様な組織型を有し、中には周囲組織へ浸潤性に増殖するタイプも存在し、代表的な組織型は粘液線維肉腫である。術前画像でその浸潤範囲を正確に把握することは困難であり、術中での断端評価も可能ではない。そのため、断端陽性による局所再発や予後不良が問題となっている。
酵素活性に応答して発光する蛍光プローブを用いた蛍光イメージング法の軟部肉腫への応用可能性を検討した。対象は当院で原発手術を受けた粘液線維肉腫16例で、術中に得られた腫瘍および正常筋組織より凍結検体を作成し、蛍光プローブライブラリを用いて発光の有無と強度を評価した。
腫瘍組織と正常組織で顕著な蛍光強度の差を示すプローブが11種同定され、いずれも特定の系に属していた。軟部肉腫への応用も十分に期待される。
本研究は、軟部肉腫における酵素活性プローベの有用性を初めて示したものであり、術中に腫瘍細胞をリアルタイムに可視化する技術の確立に向けた第一歩となる。今後、さらなるプローブの絞り込みを行い、臨床試験を通じて実用化に向けた更なる検証が必要である。
公表論文