研究助成
2022年度 医学系研究助成（がん領域（基礎））
ホウ素を含有する薬剤に基づく低免疫原性腫瘍へのがん免疫療法の開発
| 研究題目 | ホウ素を含有する薬剤に基づく低免疫原性腫瘍へのがん免疫療法の開発 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究助成（がん領域（基礎）） |
| 所属 | 物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 スマートポリマーグループ |
| 氏名 | 李 霞 |
| キーワード | がん免疫療法 / ホウ素 / 薬剤 / ナノ粒子 |
| 研究結果概要 | ホウ素含有化合物はがん細胞の増殖抑制、免疫細胞の活性化などに基づく、がん治療への応用が期待される。本研究では、ホウ素含有ナノ粒子のがん免疫療法への応用を行った。粒子壁にメソ細孔を持つ、粒子径約200nmのホウ素含有ナノ粒子（BNP-IとBNP-II）の合成に成功した。BNP-Iはホウ素の放出が中程度であるが、BNs-II はホウ素の放出速度が遅い。また、ホウ素を速やかに放出する遊離ホウ酸、ホウ素を含まない炭素ナノ構造類似体およびヒトでの使用が承認されているアラムアジュバントを対照群として使用した。ホウ素含有BNP-Iナノ粒子がモデルがん抗原OVAを担持し、マウスの皮下に注射することで、リンパ節でのCD8+ T細胞集団およびインターフェロン-γ（IFN-γ）発現が増加した。さらに、ルイス肺癌マウスモデルにおいて、適度なホウ素放出を伴うBNP-Iナノ粒子は、遊離ホウ酸、炭素ナノ粒子、市販のアラム、ホウ素放出速度が遅いBNs-IIより高い抗腫瘍免疫機能を示した。 |
| 公表論文 |
X. Li*, T. Yamazaki, M. Ebara, N. Shirahata, and N. Hanagata, "Nanoengineered coordination polymers boost cancer immunotherapy", Materials Today. 2023, 67, 127-150. (Highlighted paper) X. Li*, T. Yamazaki, M. Ebara, N. Shirahata, and N. Hanagata, Edited by D. Teplow. "Chapter 3: Rational design of adjuvants boosts cancer vaccines", "PMBTS: Cancer Immunotherapy", Elsevier, 2024, 209, 101-125. https://doi.org/10.1016/bs.pmbts.2024.03.001 |