研究助成
2022年度 医学系研究継続助成（感染領域）
ヒト粘液中の病原体が外部環境から保護されるメカニズムの解明と季節性インフルエンザの治療・診断・予防への応用
| 研究題目 | ヒト粘液中の病原体が外部環境から保護されるメカニズムの解明と季節性インフルエンザの治療・診断・予防への応用 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 医学系研究継続助成（感染領域） |
| 所属 | 京都府立医科大学 感染病態学教室 |
| 氏名 | 廣瀬 亮平 |
| キーワード | インフルエンザウイルス / 感染制御 / 接触感染 |
| 研究結果概要 | 物体表面上における病原体安定性評価モデルでの解析により、同じ新型コロナウイルスでも変異株間で大きな差異があり、例えば武漢株よりアルファ・ベータ・デルタ・オミクロン変異体のほうが皮膚上での生存時間（＝感染力を維持する時間）が2倍以上長いことが解明された。またヒトコロナウイルス（OC43株）は新型コロナウイルスよりもさらに高い環境安定性を示し、皮膚や環境表面上での生存時間が長くなり、低濃度エタノールへの耐性も認められた。 これまで環境表面上の感染性汚染物質のモニタリングはウイルスRNAが対象であったが、RNAは感染力の失われたウイルスの残骸も含まれるため、感染リスクの正確な評価には感染性ウイルスそのものの定量・検出が極めて重要である。しかし感染性ウイルスの定量・検出は非常に難しく標準化されていなかった。本研究では、スワブの種類・スワブ内の水分含有量・評価対象表面の素材・評価対象表面積などの要因が感染性ウイルスの回収率に及ぼす影響を包括的に分析した。 回収率に影響を与える因子を特定した後、最も高いウイルス回収率をもたらす理想的な回収法（つまり正確なウイルスの定量・検出法）を確立した。 |
| 公表論文 |
1. Miyazaki H, *Hirose R, Ichikawa M, Mukai H, Yamauchi K, Nakaya T, Itoh Y. Methods for virus recovery from environmental surfaces to monitor infectious viral contamination. Environment International. 2023;180:108199. 2. Watanabe N, *Hirose R, Yamauchi K, Miyazaki H, Bandou R, Yoshida T, Doi T, Inoue K, Dohi O, Yoshida N, Uchiyama K, Ishikawa T, Takagi T, Konishi H, Ikegaya H, Nakaya T, Itoh Y. Evaluation of Environmental Stability and Disinfectant Effectiveness for Human Coronavirus OC43 on Human Skin Surface. Microbiology Spectrum. 2023;11(2):e0238122. 3. *Hirose R, Itoh Y, Ikegaya H, Miyazaki H, Watanabe N, Yoshida T, Bandou R, Daidoji T, Nakaya T. Differences in environmental stability among SARS-CoV-2 variants of concern: Both Omicron BA.1 and BA.2 have higher stability. Clinical microbiology and infection. 2022;28(11):1486-1491. |