研究助成
2022年度 特定研究助成
細胞内相分離の学際的研究に基づくヒト疾患の包括的理解
| 研究題目 | 細胞内相分離の学際的研究に基づくヒト疾患の包括的理解 |
|---|---|
| 年度/助成プログラム | 2022年度 特定研究助成 |
| 機関名 | 名古屋大学 大学院医学系研究科 附属神経疾患・腫瘍分子医学研究センター 分子腫瘍学 |
| 代表者名 | 鈴木 洋 |
| キーワード | ゲノム / スーパーエンハンサー / 転写 / 相分離 / 疾患生物学 |
| 研究結果概要 | 本研究計画は、生物学と物理学などのアプローチを学際的に融合し、遺伝子制御を司る転写の反応場の作動原理の全容を解明し、ゲノム異常・RNA異常が関係した疾患における相分離の制御破綻のメカニズムを包括的に理解し、革新的ながん・疾患の診断・治療法開発に挑戦するものである。これまでに、転写の反応場である転写・クロマチン凝集体に注目し、RNAの転写・分解が転写・クロマチン凝集体の形成・離散を制御していることを明らかにし、物理学的なシミュレーション、超解像イメージング、マルチオミクス解析、シングルセルオミクス解析などを統合することにより、転写・クロマチン凝集体の流動性がエンハンサーを介した遺伝子制御を制御することを明らかにしている。さらに、数理モデルを用いた遺伝子制御の分子ツールの最適化に関する研究の発展形として、九州大学との共同研究により、CRISPR-Cas9に基づくゲノム編集の効率や安全性を100倍以上高める新技術の開発に成功している（Nat Biomed Eng. 2023）。その他に、非平衡物理学による細胞集団の解析や神経変性疾患の病態解析などについても論文発表を行なった。 |
| 公表論文 |
・ Fine Regulation of MicroRNAs in Gene Regulatory Networks and Pathophysiology. Int J Mol Sci. 2025 Mar 21;26(7):2861. ・ Distinct microRNA Signature and Suppression of ZFP36L1 Define ASCL1-Positive Lung Adenocarcinoma. Mol Cancer Res. 2024 Jan 2;22(1):29-40. ・ Roles of MicroRNAs in Disease Biology. JMA J. 2023 Apr 14;6(2):104-113. ・ Optimization of Cas9 activity through the addition of cytosine extensions to single-guide RNAs. Nat Biomed Eng. 2023 May;7(5):672-691. ・ Network Regulation of microRNA Biogenesis and Target Interaction. Cells. 2023 Jan 13;12(2):306. ・ Effects of curvature on growing films of microorganisms. Biophys J. 2025 Apr 7:S0006-3495(25)00215-2. ・ IκB kinase phosphorylates cytoplasmic TDP-43 and promotes its proteasome degradation. J Cell Biol. 2024 Feb 5;223(2):e202311176. ・ Truncation mutation of CHMP2B disrupts late endosome function but reduces TDP-43 aggregation through HSP70 upregulation. Neurochem Int. 2025 Apr 30:187:105982. |