研究助成

2022年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)

代謝産物センサー分子の同定によってもたらされた新しい考え方とその医療応用

研究題目 代謝産物センサー分子の同定によってもたらされた新しい考え方とその医療応用
年度/助成プログラム 2022年度 ビジョナリーリサーチ助成(スタート)
所属 筑波大学 医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科
氏名 関谷 元博
キーワード 代謝産物センサー / 肥満 / メタボリックシンドローム
研究結果概要 代謝産物センサー分子CtBP2が肥満の肝臓での糖尿病・脂肪肝病態に寄与すること、そのメカニズムを明らかにしていたが、それをさらに発展させ、膵β細胞でも肥満病態に重要な役割を果たしていることを明らかにした(Sekiya M et al. Cell Rep 2023)。肝臓ではNAD(H)によって活性化、メタボリックシンドローム病態に関連する遺伝子発現を抑制しているが、肥満になると脂質の1種である脂肪酸CoAが増加し、NAD(H)との結合を阻害、病態発症につながるという代謝性のCtBP2不活性化による分子基盤であったが、膵β細胞では肥満で増加する酸化ストレスによってCtBP2タンパクそのものが分解されてしまう分子基盤を同定した。CtBP2は膵β細胞では通常はその機能を維持すべく遺伝子発現を制御しているが、肥満になるとCtBP2のタンパクレベルでの喪失からβ細胞機能の低下につながることを示した。またこれまで肥満病態で各組織でCtBP2の機能喪失が病態につながることを報告してきたが、総説としてまとめた(Sekiya M et al. J Atheroscler Thromb 2024)。
公表論文 Loss of CtBP2 may be a mechanistic link between metabolic derangements and progressive impairment of pancreatic β cell function. Cell Reports. 42(8):112914, 2023 DOI: 10.1016/j.celrep.2023.112914, PMID: 37557182

C-Terminal Binding Protein 2 Emerges as a Critical Player Linking Metabolic Imbalance to the Pathogenesis of Obesity. Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 31(2):109-116, 2024 DOI: 10.5551/jat.RV22014, PMID: 37793810