研究助成

2022年度 高等学校理科教育振興助成

ルーツを探れ!−好奇心が育むバイオテクノロジーの学び−

研究題目 ルーツを探れ!−好奇心が育むバイオテクノロジーの学び−
年度/助成プログラム 2022年度 高等学校理科教育振興助成
所属 神奈川大学附属中・高等学校
氏名 松久 惠巳子
キーワード 遺伝子 / DNA / イネ / エジプト米 / 分子生物学
研究結果概要 研究の目的は、エジプトに渡った日本米(Yabani)をDNAレベルでルーツを調べることである。実験には、日本米8品種とエジプト米4品種を使用した。各種イネの葉からDNAを抽出し、PCR(RAPD法、SSR法)、電気泳動、シークエンス解析を行った。その結果、日本米の陸羽20号がエジプト米に近いことが分かった。イネの系譜図より、愛国から陸羽20号と銀坊主が派生したことが読み取れる。銀坊主はエジプト米と異なる塩基数のバンドパターンが出ているため、愛国から派生した陸羽20号と銀坊主には異なる遺伝的変化があり、エジプト米のルーツは陸羽20号であると結論づけた。この結果を踏まえ、Yabaniは国内でも栽培可能であると考え、栽培を行い、収穫後に試食したところ、コシヒカリに似た食味を有していた。温暖化による米不足が深刻化した場合、エジプト米を日本に逆輸入できる可能性があると考えた。今後は、全ゲノム解析によってYabaniの起源を明確にするとともに、高温下での栽培試験を行う。高温耐性が実証されれば、エジプトでの品種改良が、温暖化の進行する日本における高温耐性イネの開発に繋がることが期待される。
公表論文 ルーツを探る!好奇心が育むバイオテクノロジーの学び、生物教育学雑誌VOL.34 NO.1(2023年)、神奈川県生物教育研究会